会計士 勉強時間はどれくらい必要?一発短期合格のための計画のたて方とは

最難関国家資格として知られる公認会計士試験はどれくらいの勉強時間が必要なのか、ネットにはいろいろな情報があふれていますね。

今回は日本の公認会計士試験を受けるにはどの程度の勉強時間を確保しなければならないのか、短期で合格する人はどんな方法を使っているのか、あわせて解説します。

過去の栄光のようでお恥ずかしいですが、筆者は当時1年半で大学在学中一発合格、最終順位100番以内という実績でしたので、実体験を踏まえて紹介できればと思います。

公認会計士試験とは

公認会計士試験とは三大国家試験の一つとされあり、日本の試験の中で最も難しい部類に入る試験だと言われています。

試験は一次試験にあたる短答式試験(12月と6月の二回)と二次試験にあたる論文式試験(8月)に分かれ、最終合格率は直近で10.7%ととても厳しい試験であることがわかります。(令和元年試験実績より

試験科目は以下の6科目からなります:

以上のように、会計だけではなく、関連法規や経営学など多岐にわたるビジネス知識が必要となる試験です。

会計・監査、および経営の専門家に足る知識及び応用力が問われる試験で経済やビジネスを多面的に理解できる素養が身に付きます。

合格者はその多くが「監査」の経験を積むべく一度は「監査法人」に入所するケースが多いですが、税理士法人やFASなどその他会計系専門家や、コンサルティング、投資銀行、ファンド、事業会社の経営企画など多岐にわたる求人がある点からも、世間からの信頼度がとても高い試験だと言えます。

(ちなみにこのサイトからいろいろ見れます:弁護士・公認会計士・税理士の求人・転職なら【MS-Japan】

さて、このような高い評価をもつ公認会計士試験、実際に合格するためにはどの程度勉強する必要があるのか見ていきましょう。

日本の予備校が想定している勉強時間

まず最初に、日本の予備校が想定している勉強時間から紹介させていただきます。

こちらは私も受験時にお世話になりました”資格の予備校TAC”のサイトから引用させていただきます。

公認会計士試験に1回で合格した「一発合格者」の勉強時間は、平均3,664時間という結果が出ました。

資格の学校TAC 公認会計士サイトより

いかがでしょうか、多い、もしくは思ったより少ないでしょうか。

とはいえ、ネット上ではいろいろな体験期があふれており、2000~6000時間程度の大きな幅があるのが実態です。

この差がなぜ生まれるのか、というと、一発合格者と複数年度受験者がいるために他なりません。

上記の3,664時間というのは一発合格者の平均値、ということですので、まずはこれを前提に以下で解説していきます。

勉強時間・スケジュールと、総勉強時間を圧縮するポイント

日本の公認会計士試験はUSCPA試験とは異なり長丁場になります。

総勉強時間を圧縮する方法は言うまでもなく一発合格です。

一発合格を達成するために必要なのは、地頭の良さではなく、全体のスケジュール戦略と継続力で、いつまでにどこまで出来ていなければいけないのかをあらかじめ決めている人間が短期に合格します。

では、以下でその具体的な方法を解説します。

一発合格の方法

1. まず重要なポイントは、12月の短答式試験に合格することです。

裏を返せば、6月に短答式試験を受けないようにして、8月の論文式試験勉強に専念すること、です。

 

2. 次に12月の短答式に合格するためのポイントは、夏までに計算を仕上げることです。

これができれば、10月末までの2か月を計算問題以外の暗記等(短答式試験独特の細かいもの含む)に充てることができます。

 

3. 3つ目のポイントは、夏までに計算を仕上げるためにいつ勉強を始めるか、です。

これについてはあまりデータがないので私の経験ベースでお話しますが、会計士の計算を仕上げるには1000時間強必要(授業時間含む)かと思います。

短答式までに仕上げないといけない計算問題は財務会計論と管理会計論の2つですが、おおむね500時間ほどで簿記1級レベルには到達します。

さらにその後会計士独特のM&A系の会計問題を解き、再度全体の問題を覚えるほど復習し、短答式で不安がないレベルに至るのに500時間、というイメージです。

(実は簿記・会計の計算で最も大事なのは「反復練習」で、短期合格者ほど同じ問題を何回も解きます。)

では、2019年8月末までに1000時間かけて計算を仕上げるには、いつから勉強を始めればよいでしょうか。

目安は以下です:

学生なら遅くとも2019年3月:1日10時間×週5日×4週間×6か月=1200時間(企業法や監査論の授業も始まってしまうため200時間プラス)
社会人なら遅くとも2018年12月:週30時間×4週間×10か月=1200時間

総学習時間イメージ

上記のもと、私の実績・感覚では以下のような配分になります。

月200時間の学習をコンスタントに続けることができ、かつ上記で述べたようなポイントをおさえることができれば合格が見えます。

(基本的に学生であれば1日10時間、週5日をコンスタントに続けられれば合格です。)

終わりの見えないマラソンはしんどいので、勉強時間の計画とタイミングごとの目標を明確にしてから試験にのぞみましょう。

試験に合格できればそれは成功体験として個人の財産になるだけではなく、将来の選択肢が一気に広がります
こちらの記事にて気になるキャリアや年収をまとめていますので、将来のイメージをつかんでいただければと思います。

とはいえ、私はテキストを読んでばっかりでは疲れてくるタイプだったので、iPod(死語ですかね・・・)に授業音声をダウンロードして通学の間なんかにもよく聞いていて、「耳からインプット+脳内で反芻してアウトプット」というスタイルでスキマ時間を活用していました。
もし今私が受験生なら、オーディブルを活用して耳から学習をもう少し促進します。実は2018年ごろはあまり実用的な本が対象じゃなかったので否定派だったのですが、バリュエーションの教科書: 企業価値・M&Aの本質と実務が無料で購入可能(しかも退会しても残る・・・)で、経営学の学習をしているときや、ファイナンスと実務のイメージをつけるためにこれはお得です。
おそらく実務に入ってから「あの無料の時ダウンロードしておけばよかった!」
となるので今のうちにぜひ。(私は2020年5月現在早速二周ききました)。

短答式試験に多くの受験者が落ちる理由

会計士試験の合格率が低い理由は、そもそも1次試験である短答式試験に合格できないためです。

私のクラスメート、友人、後輩らも同様でしたが、受験者の大部分が短答式試験に合格できずに去っていきます。

12月の短答に落ちる最も大きな理由は、夏までに計算が仕上がっておらず、本来短答式の学習をすべき9~11月にその時間が取れない、もしくは計算がおろそかなまま本番に突入することです。

落ちる要因がわかっていれば、あとはそうならないように気をつけてさえいれば合格にたどり着きます

したがって、この記事をお読みいただいたあなたはその時点で他の受験者、受験予定者より一歩リードしていて、あとはその計画を最後まで実行できるかのみです。

(なお、先日のUSCPAの勉強時間の記事では「インプット」と「アウトプット」に焦点を置いて紹介しましたが、会計士試験の計算期は圧倒的にアウトプット時間が必要なためこのような説明になっています。)

おわりに

いかがでしたでしょうか。

最高峰の難易度の試験と言われる会計士試験も、攻略法さえ知っていれば実は恐れるに足りません。

もしチャレンジしたい、チャレンジしようかな、とお考えの方は、もう一度上記のスケジュールや総必要勉強時間を確かめ、ご自分の私生活に実現できるか戦略を練ってみてください。

この試験の最も大きな投資はお金ではなく「時間」です。3500時間を費やすことで失われるものもあるでしょうが、その後得られるキャリア・資格・人望・ネットワーク・専門知識など、ポジティブな要素は膨大です。

人それぞれ価値観は異なりますので、この投資によって得られるメリットが大きい、と決断できた方は、ぜひこの業界に足を踏み入れていただければと思います。

もし現在高校生・大学生で会計士試験に興味がある、という方は、あわせて次の記事も読んでみて下さい:

その後のキャリアは次の記事をご参照ください:

最後までお読みいただきありがとうございました。

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