はじめに
さて、今回はUSCPA(米国公認会計士)の年収について紹介します。
会計と英語の実務的な理解を要する資格、USCPAは全世界のビジネスパーソンに根強い人気を誇る難関資格試験です。
ただ、日本で取得したのち、本当にキャリアアップにつながるのか、年収が上がるのか、というのは、受験前にとても気になるところですよね。
では、その内容を具体的に見ていきましょう。
USCPA合格後のキャリアとは
さて、USCPAの年収を理解するためには、資格に合格した後のキャリアを把握することが近道です。
合格後には大部分の方が各専門学校や転職エージェントの紹介を受けてキャリアアップを狙います。
想定されるキャリアアッププランとしては、大きく以下の2つが想定されます。
1. プロフェッショナルファームへの就職
2. よりよい条件での事業会社への就職
(なお、転職組だけでなく新卒を狙う大学生も目指すべき先は同様です。)
プロフェッショナルファーム
なお、ここでいうプロフェッショナルファームとは会計系Big4系を指します。
具体的には、Deloitte(トーマツ), KPMG(あずさ), E&Y(新日本), PWC(あらた)の4ファームです。
これらは「監査法人」というイメージが強いかもしれませんが、それぞれのファームが別法人という形で以下の形態を持っています(弁護士法人等関係のないものは割愛)。
1. 監査法人(Audit)
2. 税理士法人(Tax)
3. ファイナンシャルアドバイザリー(Fas)
4. コンサルティング
USCPAに合格することの最大のメリットは、これらのプロフェッショナルファームへのチャレンジがしやすくなる、という点です。
これらのファームは高度な会計専門知識をベースとしたサービスを提供していることから、新卒であろうと転職であろうと採用にあたっては何らかの会計系専門資格が求められます。
USCPAは、Big4からすれば日本の公認会計士や税理士資格と同様、専門知識を示す十分な資格になるのです。
(なお、ファイナンシャルアドバイザリーとコンサルティングは高学歴新卒やシナジーのある転職だと無資格でも入社可能ですが、有資格者のほうが入社しやすいです。また、監査法人と税理士法人は基本資格が必要になります。)
事業会社
もちろんUSCPA資格を用いた事業会社系キャリアアップも狙えます。
ただ、こちらは具体的にどの企業、というよりは、完全にその時の雇用需給関係によります。
私も転職サイトへ登録して情報収集しているのですが、必要ないし望ましい資格に”USCPA”と記載しているような求人は、経理・経営企画・内部監査が大部分です。
(このサイトからいろいろ見れます:弁護士・公認会計士・税理士の求人・転職なら【MS-Japan】)
このケースも、外資系会社や総合商社のバックオフィス部門など、有望な案件はたくさんあります。
注意したいのは、事業会社転職は会計ファーム転職よりも総合力勝負になりますので、試験に合格していることを前提とするとプロフェッショナルファームに入社するより難易度は高くなりがちです。
USCPAの年収
さて、まとめると、USCPAの年収はプロフェッショナルファームに入るのか事業会社等へ進むのかで異なってきます。
ここからはいわゆるUSCPAのモデルケースである、会計系プロフェッショナルファームをベースに話を進めていきます。
先ほどご紹介したとおり、各Big4はそれぞれ以下の4つの法人有しています。
1. 監査法人(Audit)
2. 税理士法人(Tax)
3. ファイナンシャルアドバイザリー(Fas)
4. コンサルティング
気になる報酬形態ですが、各法人あまり大差ありません。
ではテーブルを見ていきましょう(残業を抑えた保守的なテーブルです)。
以下は最も代表的な、監査法人の昇格テーブルを前提にしていますが、役職ごとの年収はTax、Fas、コンサルも同様です。
いかがでしょうか。
一年目から550万程度となり、シニアになると800~1000万程度が見えてくるので、やはりプロフェッショナルファームとしての報酬体系に魅力を感じる方も多いかと思います。
なお上記のテーブルで、一点だけ例外があり、それはパートナーの年収です。
実は税理士法人・Fas・コンサルのパートナーは監査法人よりも強い収益責任がある反面、年収は1億円を超えることも可能です。
監査法人のパートナーだと5000万円~クラスは経営幹部等になってくるので、この辺りは少し文化の違いがありますが、いずれにせよ高給取りと言われる部類に入ることは間違いないでしょう。
前職が考慮される会社とされない会社
さて、先ほどのテーブルは新卒テーブルだったので、職歴がある人はどうなるのか気になりますよね。
実は、よほどシナジーのある経歴がないと前職はあまり考慮されないことがほとんどで、基本的に全員スタッフから始めます。
ただ、成果を出したり、しっかりチームマネジメントができている方は昇格がどんどん早くなりますので、前職は決して無駄になりません。
なお、ご参考までに私の周りで入社時からシニアやマネージャーとして入社された方のキャリアをご紹介します:
1.監査:他の4大ファームからの転職
2.Tax:事業会社で税務マネージャー経験
3.Fas:金融機関でのマネージャー経験
4.コンサル:特定業界(この方は生命保険)でのマネージャー経験
上記の通り、プロフェッショナルファームで入社時から役職付きとなる方はかなり少数派です。
ただ、30代前半くらいまではスタッフで入社される方はいますので、入社時の年齢よりも、入社後に成果を出して出世することに意識を向ければ問題ないです。
(私が情報収集しているこのサイトにも前職条件なんかが載っています。弁護士・公認会計士・税理士の求人・転職なら【MS-Japan】)
考慮すべきこと
今から試験を受けるか悩んでいる方は、以下のことを自分のノートなどに書いてクリアにしておき、自分の置かれている状況を分析することが重要です。
1.自分の現在の年収から、どれだけキャリアアップが見込めるのか(年収面)
2.受験勉強や試験にかかるコストはいくらなのか(費用面)
経済面での疑問を先に明らかにすることで、少しでも受験への不安を減らせますよね。
USCPAの受験に係る費用については、私の実体験から、こちらの記事でまとめていますのでよろしければご覧ください。
USCPA 費用はいくら?米国公認会計士 の取得にかかる費用の詳細
おわりに
いかがでしたでしょうか。
USCPAの年収について、プロフェッショナルファームの報酬体系と照らして確認しました。
USCPAという資格を受けるべきなのかどうか悩まれている方は多いかと思いますが、そのような方々のお力になれれば幸いです。
なお、最後になりましたが以前私はこんなツイートをしました。
大学生がUSCPAをとるメリットを3つ上げてみた。
1.経営系の大学の講義が気持ち良いほどわかるようになる
2.普段から英語でインプットすることに抵抗が無くなる
3.社会人になっても学び続ける土壌が出来る上げ出すとキリがないですが、就職有利とか以前に自己成長メリットがでかい。
— カワキタ / アメリカで会計士やってます (@kawakitablog) February 6, 2019
私自身これは本当にメリットだな、と感じていて、この記事では年収やお金のことにいろいろフォーカスしましたが、自己成長メリットというのは見逃せないポジティブ要素です。
お金だけではなく、専門知識を武器にして生きていく、ということのメリットを考え、ぜひいろいろな方にこの資格にチャレンジしてほしいです。
でも、「勉強するためのコストが・・・」と心配に思う方は、正解です。しっかりリスクも理解して挑むことが大事なので、ぜひ以下の記事も読んでみてください。
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最後までお読みいただきありがとうございました。