会計士のセカンドキャリア 転職で失敗しないためのタイミング4選

会計士のキャリアプランについて、「転職すべきか否か」というのはどこかで向き合うべき一つの選択となります。

今回は転職をキャリアアップにつなげるために意識すべき動き出しのタイミングについて紹介します。

動き出すタイミングとは

監査法人の次のキャリアを考える場合、いつ動き出すのが正解なのでしょうか。

結論ですが、動き出すべきタイミングはどんなセカンドキャリアを狙うのかによって異なります

監査法人からの転職というのは本当に幅広く、例示すると
・外資コンサル等のプロフェッショナルファーム
・投資銀行・PE等の金融機関
・事業会社(総合商社などの人気企業含む)の経理、IR、経営企画、内部監査
・ベンチャーの要職
など可能性は非常に多岐にわたります。

では、以下でどんなタイミングを狙えばよいのかそれぞれ見ていきましょう。

タイミング①入社2~3年目

一つ目のタイミングは入社2~3年目です。

実際このタイミングで転職をするケースはあまり多くないですが、全く新しいことに挑む場合はこのタイミングでの意思決定がベターです。

入社2~3年での転職が必要になるケース:新しいことに挑む
・戦略コンサルティングファーム
・投資銀行
・PEファンド など
上記のようなファームでは、監査法人であまり長い経歴があったとしても受け入れ時に新人として扱われることや、そもそも若手でなければ募集対象となっていないことも多々あります。

したがって、このような超エリートキャリアを目指す場合は2年間で監査を究めるほど仕事をし、早いうちから転職エージェントや実際にその会社で働いている人と関係性を築いておくことが必要となります。

(なお、2年というのはのちのち公認会計士登録するために必要な監査実務経験年数ですので、会計士を名乗りたい場合は最低2年は必要です。)

タイミング②終了考査合格後(4年目~)

2つ目のタイミングは丸3年働いたのち、終了考査(3次試験)合格後です。

ここが一回目のボリュームゾーンになり、多くの会計士らが実際にセカンドキャリアを歩み始めるタイミングです。

理由は明白で「公認会計士」として転職でき、より優良な求人を紹介してもらえるためです。

終了考査合格後のケース:公認会計士としての転職
・コンサルティングファーム(外資戦略等除く)
・事業会社の主任クラス
・税理士法人やFASなど

このタイミングになると、他のコンサルティングファームなどへの転職が目立ちます。

具体的には、内部統制の構築支援や上場準備支援など、監査法人では独立性の制限からできなかったような仕事をしに行くケースです。

また、事業会社だと経理部や内部監査室の主任クラスとして、管理職ではないですが、主戦力としてそのキャリアを歩むようなケースが多いです。

そのほか、税理士法人やFASなど他の会計系ファームへの転職時にも、公認会計士登録後であるとスタッフからではなく「シニア」として転職できるケースも出てくるため、ある程度経歴が認められたうえでの転職ができるというのがこのタイミングの魅力になります。

タイミング③マネージャー経験後(9年目~)

3つ目のタイミングはマネージャー経験後です。

一度管理職を経験することで、求人は「管理職経験あり」という要件があるものも選択可能になるのが魅力です。

マネージャー経験後のケース:管理職としての転職
・事業会社の管理職
・ベンチャーの役員
・コンサルティングファームの管理職

最も多いのは事業会社の管理職への転職で、管理職転職のメリットは多くが年収1000万円を超えてくる、というところです。

経理・決算部門や内部監査部門の管理職が大多数を占めます。

たとえば、連結決算部門の管理職として「海外子会社の決算を取りまとめつつ監査法人の対応を行う」などが求められているケースが多く見受けられますが、実際監査マネージャー経験がかなり生きる領域になりますので、即管理職も十分務まるでしょう。

事実アメリカでは監査法人出身者が経理責任者をやっているケースが多く、日本でもまだこのような専門家需要は伸びる余地がありそうです。

ベンチャーの役員となると資金調達サイドも経験があるほうがベターですが、未経験でもみなさん勉強会などを通じて学びつつ業務にあたられていますのであまり心配はいらないかと思います。

コンサルティングファームへの転職でも、内部統制構築支援や上場準備支援など、監査とシナジーがある業務にあたる場合は管理職として採用される可能性が十分あります。

タイミング④出向制度利用後

4つ目のタイミングは、社内出向制度利用後です。

少し特殊ですが、Big4の監査法人はファーム内でそれぞれ以下のような出向先があります。
・税理士法人
・FAS
・コンサルティング
・海外ファーム
・事業会社経理(非監査クライアント)

(出向制度については後日追記します)

出向制度利用後の転職:実質サードキャリアとしての転職
・そのまま出向先に残る
・出向経験を活かしさらに良い転職先を探す
多いのは監査法人から税理士法人へ出向(通常2~4年の期限付き)を経たのち、そのまま税理士法人に残る、というようなケースです。
これは実質転職とは異なり社内異動に近いので、無リスクでの転職経験ができる点で魅力的です。
また、出向から帰ってきたのちに、「監査+TAX」や、「監査+FAS」などの複合経験をもって転職するというのもとても成功しやすいようです。
私の周りでは、「監査+FAS」をもってそのまま投資銀行に就職した方が、年収を大幅アップさせた好事例でした。

まとめ:動き出しのタイミング

さて、ベストなタイミングは、上記のように実際の求人事例にあてはめて個別に決めなければならない、ということがお分かりいただけたかと思います。

実際の求人はその時の需給により変動しますので、最も大事なのはその道のプロであるエージェントから情報を得られるようにしておくこと、です。

ではいつ情報収集を始めるか?というと、公認会計士登録が終わったら一度やってみてもよいかもしれません。(資格があると、求人がすごいです)

マイナビ会計士は有資格者限定ですが非公開の優良求人が多いです。
(法人に残っているマネージャーやシニアマネージャーも、実は隠れて登録して情報収集しています・・・というのはここだけの話)

残ってパートナーを目指す方も、定期的に自分の市場価値を見てみることで自分を客観視してみると面白いです。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

キャリアチェンジはタイミングがとても大事なので、「いつの間にか期を逃していた!」なんてことにならないように考えておきたいものです。
(そういえばミイダスでぽちぽち質問を進めていくと自分の今の市場価値を出してくれて面白いです。ちょっと実際より高い気もしますが・・・。)

とはいえ監査業界は実はいまとても働きやすくなってきており、魅力度はどんどん増しているのも事実で、転職を考える前に恵まれた環境であるということは認識しておきたいところです。
業界の働き方は以下でまとめています:
なお、監査法人での出世モデルは、以下の記事でまとめています:
最後までお読みいただきありがとうございました。
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