監査法人と転職 出世か転職を決断する要素とは。

晴れて会計士試験に合格して監査法人に入ったあと、どんなキャリアを歩むのでしょうか。

実際のところはそのまま残って出世する人よりも転職していく人のほうが多いです。会計士を志す人達にとっても、出世か転職かというキャリアプランを早くに決めておくことで、得たい経験などが明確になり自己の成長に大きなプラスになります。

今回は監査法人の出世と転職について、どんなキャリアプランがあるのか、どんな理由でいつみなさんが転職を決意されているのか紹介します。

監査法人での出世とは

監査法人でのキャリアプラン

まず最初に、監査法人の中に残る場合のキャリアプランをご紹介します。

ここでは4大監査法人を想定しますが、基本的にどの法人も同様で、

スタッフ→シニア→マネージャー→シニアマネージャー→パートナーという5ステップを踏みます。

それぞれどの程度の年数経験が必要でどの程度の年収になるのかは以下をご参照ください:

マネージャークラスまでは基本的に入社年次をベースに年功序列で昇格していき、実力主義が強く反映されるのはシニアマネージャーへの昇格から、という傾向があります。

パートナーになってからは実質経営職層(事業会社でいうところの取締役のようなもの)になりますので、給与も2000万円以上と高いですが、ここまでたどり着くのは同期の中でも1~2割程度でしょう。

出世する人の特徴

さて、やはり組織ですので、出世する人は何らかの強みを持っています。

以下に例示列挙します:

・人望厚くチームマネジメント力が高い
・ロジカルで人を説得させる力がある
・営業力に長け、新規契約獲得実績がある
・会計や監査の法規に詳しく、高度な規制対応に耐えうる専門性がある
・語学堪能で、海外の顧客へもリーダーシップを発揮できる

など。

パートナーになるような人はこれらのうち3つ以上を誰もが認める形で持っているイメージです。

もちろん人によってタイプが異なりますが、入社して10~15年後にはこのような何らかの強みを発揮していき周囲に存在感を出していく必要があります。

10年後にどこに強みを出したいか・・・と考え、若手のうちに積みたい経験を考えている人は成長が早いです。

転職を決意する5つの転機と理由

では苦労して試験に合格して入社した監査法人を、どんな理由でいつ退職しようと考えるのでしょうか。

大きく以下の5つに分かれます。

1.入社前

意外かもしれませんが、実は入社前から退職を決めているケースが一番多いです。

あくまで監査経験はステップアップの手段と考え、「会計士登録したら辞める」や「一年シニアをしたらやめる」などあらかじめ考えているケースです。

職歴のある転職組によくあるケースで、27~32歳くらいで入社し、30~35歳くらいでステップアップの転職をしていくというものです。

2.もっとやりたいことを見つけたとき

これも多くあり、監査業務を通じてクライアントの課題を解決していく中で、

「コンサルタントとしてもっと深く関与したい」
「顧客に利益をもたらして感謝されたいから税務がやりたい」
「事業会社に入ってプレーヤーになりたい」

という思いを持ち転職していくケースです。監査業務は本当にいろんな会社のさまざまな役職の方たちと働く機会が得られるため、視野が広がると同時に新しい活躍のフィールドを見つける人も多くいます。

3.監査に満足してしまったとき

少しネガティブな要素ですが、一定数監査に満足してしまう人はいます。

監査という業務は特殊で、最初の3~5年は本当に「こんなに恵まれた職はない」と思うほど成長スピードが速いです。

一年目から複数の会社の経営会議資料に目を通し、事業内容と数値を深く分析し、納得いくまで会社とディスカッションやヒアリングさせてもらえます。

最初の3~5年で得られる経験は「監査」に限らず、FASや税務、経理、事業企画などあらゆる転職に生きるもので、自分の市場価値が上がっていくことを実感できるでしょう。

一方、3~5年で監査業務を一巡してしまいますので、あとは「監査人」としての道を進み続けることになるのも事実です。

もちろん管理職経験・海外経験などの成長要素はまだまだありますが、何か新しいことができるようになる、という期間は最初の5年までで、新たな刺激・成長を求めて退職する人が多いです。

4.出世が見込めなくなったとき

実はあまりいませんが、0ではないのでもう少しネガティブ要素も掘り下げましょう。

出世が見込めずに退職するのは、基本シニアマネージャーからパートナーに上がれなかったときです。

マネージャーあたりまでは、2~3年の同期内出世スピードの違いはあれど、残ってさえいれば昇格できます

一方、シニアマネージャーというのは多くの法人で「パートナー候補」と考えられているため、もしパートナーになれないことが明らかになれば辞めざるを得ないでしょう。(このプレッシャーを嫌ってマネージャーのまま残っている方も一定数います)

パートナー昇格は暗黙の年齢制限があることがほとんどで、遅くとも40代のうちに昇格できなければ難しくなってきます。

5.パートナーによるアーリーリタイア

こちらは嘘のような本当の話、業界でもあまり知られていませんが、パートナーとして一定年数働いた後に受けられるアーリーリタイア制度なるものが存在します。

早期退職により退職金を積み増す(年収2~3年分とのうわさ!)ほか、非常勤監査役等としてのセカンドキャリアあっせんも受けられるようです。

これは完全に勝ち組ですね・・・。

キャリアアップにつながる転職をするために

さて、上記で監査法人からの転職を決意する転機と理由を紹介しましたが、キャリアアップにつながる転職をするためにはどんなポイントがあるのでしょうか。

成功の秘訣は、中長期のキャリアプランニングです

できるだけ早い段階から、
・自分は監査でパートナーになるのか、それともどこかのタイミングでキャリアチェンジするのか?
・キャリアチェンジはいつ、何がしたいのか?
・そのために監査法人で経験しないといけないことは何か?

ということを考え、自らのキャリア設計通りの経験を積むべく調整していくことが、なりたい自分になれる何よりの近道と言えます。

とはいえそこまで決めきれている人は多くいないと思いますので、定期的に転職サイトを見て自分の市場価値を確かめたり、転職エージェントに会って客観的な意見をもらうというのも一つです。

会計士もしくはUSCPAの有資格者しか登録できませんが、もしできるのであればマイナビ会計士は登録しておいて損はないです。有資格者限定にふさわしい求人・エージェントからの情報提供を受けられ、定期的に自分を客観視できます。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

会計士になる以上は、出口戦略(パートナーor転職)も避けられない意思決定です。

「自分の市場価値」を常に意識し、専門性やマネジメント力を高めていくことで成長スピードは速まり、将来の可能性はさらに広がります。

私も日々成長、です。

なお、実際に転職を成功させるためのタイミングは以下でまとめていますので、あわせてキャリアプランニングにご利用いただければと思います:

最後までお読みいただきありがとうございました。

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