監査法人 入所一年目の教科書:若手のうちの8つの習慣

自分の成果物を3回読み返す

次は意識面の話です。

とても単純で、自分の書いた文章を他人へ提出する前に3回読み直してください。実はこれをやるかどうかで、人からの印象がガラッと変わります。

会計士はメールや調書作成で多くの文章を書く仕事です。
この作業の目的は、シンプルな誤字脱字だけではなく、自分の文章のストーリーや主張が一貫しているかどうか読み直すことにあります。

日々のメールから理路整然とした文章を提出できる人は、自然と寧な仕事をする人、というイメージがついてきてすべての好循環につながりますので、是非意識を継続したいところです。

同期や近い年次の同僚とのコミュニケーション

次は社内のコミュニケーションです。

若手のうちに大事にしてほしいのは、同期や近い年次の同僚とのコミュニケーションです。

ここでいうコミュニケーションとは「毎日同期と一緒にランチに行く」とか「休日遊びに行く」とかではなく、
仕事の話を真面目にできる仲間を作っておくということです。

専門家として生きる以上は原典や基準を把握して進めることが必要、と言いましたが、「実務に実際に落とし込むとどうなるか」という情報が欲しいときには実際に適用済みのチームの事例をもらうのが手っ取り早く、こういう時に頼れるのは同期などの横のつながりになってきます。

経験年数が進むほどいろんな部署の人の協力を得て仕事をする必要が出てきますが、そのための第一歩ともいえます。

ちゃんとギブアンドテイクの関係を維持できるように自分も相手にとって有用な存在でいるべし、というプレッシャーもかかることから、やはり一人でやみくもに努力するより得られるものは多いと思います。

マニュアルと実務指針を活用する

さて、ここからは監査人としての実務レベルでの話になります。インプットとアウトプットを兼ねるため、実務においてとても重要です。

監査で迷ったら、誰かに聞く前に、まず各法人の監査マニュアル(内規)と、監査実務指針集を読みに行く癖をつけましょう。

以下の書籍は発行部数が極端に少なく、なぜかプレミアム価格で流通しているので、新刊発行時に購入することをお勧めします。

「監査」という仕事に入る際に、スタッフたちが一番腑に落ちないのが「なぜこの手続きをやる必要があるのか」「どこまでやる必要があるのか」といった判断のようです。

ポイント:迷いながらする仕事は効率が悪く、腹落ちしていないのであればそれは監査ではなくただの作業になってしまいますが、ひとたび目的やゴールがわかっていれば仕事を通じて基準や背景を学ぶことができ、仕事を成長の機会につなげることができます

せっかくプロフェッショナルファームに入ったのであれば、自分で一つ一つ納得して仕事に取り組みたいところ。最初のうちは時間がかかりますが、原典を参照して、自分の言葉で自分の仕事を説明できるよう、納得して仕事に取り組んでいくことが専門家への第一歩です。

会計基準や解説書籍を読み込む

さきほどと趣旨は同様ですが、会計基準及び実務指針の読み込みも欠かせません。

監査法人勤務の人は、会社の総務系の方に頼めば割安で購入できるかもしれないのでそちらも確認してください。


クライアントの考えをきちんとしたフレームワークで整理して解決していくため、まずは基準の正しい理解が必要不可欠です。

さらに会計基準を実務に落とし込む際には、その背景や趣旨の理解はもちろん、各設例で近似するものがないか、社内のQ&Aで法人統一の見解が出されていないか、業界特有の慣行とそれに対する特例措置はないか、などしっかり調べないといけないことが増えてきます。

このように、「会社の会計処理に誤り無し」と判断する際には「実際にどの基準(指針、Q&A etc.)を参照し、どのように事例に落とし込んだのか」が説明できる必要があります。

ポイント:忘れてはならないのは、自己が納得するかではなく、クライアントや上司や金融庁やど関係者を納得させる解を出して進めていけるかという第三者目線が重要、という点です。

会計の専門家である以上、このように会計基準と向き合いながら仕事をする必要があります。

英語学習

またベタですが、今後の会計士業界では英語力はあるに越したことはありません。

管理職以上を目指すのであれば、英語力は若手のうちから意識しておいた方がよいです。

理由は単純で、監査及び会計ファームのグローバル化が進んでいること、および英語を使うグローバルクライアントのほうが報酬が高く社内で評価されやすいことが理由です。

前者を補足すると、ファームのグローバル化が進んだ結果、マニュアルやQ&Aが英語であったり、研修資料が英語だったり、というのはよくある話です。

目安となる目標値はTOEIC860以上。このくらいの単語力、リスニング力、リーディングのスピードはあっても損しません。
(ただ、現状まだまだ監査法人には英語ができる人が少ないので、大部分は500点~600点くらいかと思いますので少し努力すれば頭一つ出ます)
余談ですが一般企業のように昇格要件の中にTOEICのスコアなどを採用してくる日も近いかもしれません・・・。

なお、TOEIC対策方法は以下にまとめています:

おわりに

いかがだったでしょうか。

実際、「優秀な会計士だ」と言われて法人に残っている人たちは無意識のうちに、もしくはしっかり意識してなんらかの努力を積み上げています。それは仕事を通じての人もいれば、仕事外での人もいます。
働き方改革により労働時間が短くなっている現在、「仕事を通じて効率よく成長する」ことと、「仕事に活きる自己学習を継続する」ということは非常に重要です。

習慣化というのは初めこそつらいものですが、数年越しでとても大きな成長として現れるものですのでしっかり自分の日常の中に組み込んでいきたいですね。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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