実際に働く部署は?給与は?
今まで紹介してきた通り、日本では数が少なくあまり知られていないだけで、USCPAの価値は会計系ファームでとても評価されています。
特に2014年以降は景気が良いのも相まって非常に強い売り手市場となっており、2019年現在継続しています。なお、2020年は、というとやや需要の過熱感は収まってきていますが、求人はまだまだあります。
なお、監査法人に限って言えば不況にも強いビジネスモデルなので、ご興味のある方は次の記事をご参照ください。
話を戻します。アカウンティングファームで働くUSCPAにはいろいろと選択肢があるので、どんな部署で働くことになるのかというイメージを持っておいたほうが良いです。
以下で各法人ごとのUSCPAのキャリアの特徴を記載します。
①監査法人のケース
東京では断続的に求人あり。米国会計基準系もしくはIFRS系の部署・チームへ所属することが多いが、日本基準監査対応要員としても求人あり。
監査法人は2014年から2019年まで強烈な売り手市場が続き、現在やや落ち着いてきた段階となっています。
背景として、定期採用の対象が基本的に「日本の公認会計士試験合格者」のみであるため、受験者・合格者ともに激減した2010年以降、景気が上向くにしたがって人がどんどん足らなくなっていました。また、最近は働き方改革の結果一人当たりの労働時間が短くなってしまっているのも、継続的な人材需要がある背景といえます。
一方、通常の転職同様求人タイミングも重要なので、エージェントの方としっかりコミュニケーションをとることも重要です。
実際に私も日本で働いていたころ、日本基準の会社と米国基準の会社(いずれも日系企業)の監査を担当していましたが、米国基準の会社の当時の上司はUSCPAで日本の公認会計士はもっていない方でしたし、USCPA合格者で監査部門へ入社された方も近年ちらほらいました。
実際に配属される部署としては、米国会計基準系の会社、もしくはIFRS系の会社の担当になることがほとんどのようです。
これらの部署にはもちろん日本の公認会計士試験合格者の中から選りすぐりの新人が投入されているのですが、大規模監査のため万年人員不足状態です。
でも定期採用人数は思うように取れない→他部署との取り合いの結果十分な新人が取れない、という状態が慢性化しています。
もちろんこのような人足らずの時代ではなくなったとしても、監査部門は不定期でUSCPAの求人を出しています。
(参考:弁護士・公認会計士・税理士の求人・転職なら【MS-Japan】)
②税理士法人のケース
移転価格や海外税務部署では強い需要あり。
一方国内税務部署からの需要は稀。
あまりイメージにはないかもしれませんが、実は監査法人よりもUSCPAの採用に力を入れているのが税理士法人です。
特に移転価格税制*を専門とする部署は日本企業の好業績を受けて、近年どのファームも業績が拡大しており、特に採用に力を入れているようです。
クライアントからしても予期せぬ追徴課税リスクを抑えることができ、需要が高い案件となっています。
参考:移転価格税制とは
国をまたいだ企業間取引で、国と国の間で徴収する税額に不公平が出ないようにする国際課税制度です。
このあたりの文書サポートはじめ、税務調査対策やコンサルティングを実施している部署が、税理士法人内には別チームとして独立しています。
移転価格チームの仕事は、上記のようないわゆる移転価格対策のほか、タックスヘイブン税制対策など、企業グループ内の海外取引全般のリスク把握、対策、文書整備などを実施します。
個別の詳しい税制は原典を調べたり社内のノウハウを利用すればよいので、専門家のスタートラインに立つためにまず会計及び英語の素養がとても重視されていると言えます。
③FASのケース
会計・ファイナンスの素養がある人として試験合格者に対する評価が高く、USCPA試験合格者にとって活躍のチャンスが大きい。
FAS: 財務デューデリジェンス(財務内容の第三者評価業務)や企業価値評価など、ファイナンスの要素を用いた専門職です。
FASで働いている人は、公認会計士、税理士、USCPAの有資格者のほか、金融系の実務経験者が資格をとらずにセカンドキャリアとして働いているケースなども多く見受けられます。
つまり、大手銀行や投資銀行などでの実務経験がないような場合であっても、USCPAをとっていればFASへ入社するチャンスが一気に広がるといっても過言ではありません。
監査や税務といった国内規制産業ではなく、会計・ファイナンスを用いたアドバイザリー色が濃い職業のため、公認会計士や税理士資格保有者と同じスタートラインで活躍できるフィールドといえるのは一つの魅力ではないでしょうか。
④コンサルティングのケース
FASのケース同様、会計・ファイナンスの有資格者として試験合格者に対する評価が高く、試験に合格することで入社のハードルを大きく下げることができる。
①会計系資格
②IT系実務経験及び資格
③特定業界(ex.保険、金融、など)の実務経験
ここでも、USCPAを有していることで入社への門戸が開かれることとなると言えます。
一方、今までの監査・税務・FASと比較すると「専門家」というより「コンサルタント」の色が重視されていることから、単に資格を持っているだけでなく、「コンサルタントとして生きていく」という気概を持った人が多いので、USCPAの合格後にコンサルをしたい方はより具体的な将来ビジョンや覚悟があったほうが良いでしょう。
プロフェッショナルファームの給与は?
冒頭に、「平均よりは高い」と書いたものの、実際の金額が知りたいですよね。
基本的には会計系ファームではほぼ同一の賃金テーブルを使用していることが多く、入社一年目の年収は以下のようなイメージです。
USCPAの4科目合格後に働く場合は二個目の”スタッフとしての給与”、一部科目合格で働く場合は1個目のジュニアスタッフとしての給与になるのが一般的でしょう。
(そういえばミイダスでぽちぽち質問を進めていくと自分の今の市場価値を出してくれて面白いです。ちょっと実際より高い気もしますが・・・。)
なお、昇格スピードに差異はあれど、役職ごとの年収は監査法人でも税理士法人でも基本変わらないので、以下で解説している監査法人の年収記事が参考になります:
おわりに
いかがだったでしょうか。
今回はUSCPA合格者の将来性として、会計系ファームへの就職・転職にフォーカスしてまとめました。
もちろん事業会社への転職ないし就職においても、経理、税務、事業企画、内部監査など幅広い専門部署への可能性が広がりますし、海外子会社管理や海外転勤などの機会も得られやすくなることから、その価値の可能性は無限大です。
私事ですが、実はうちの妻も先日USCPA4科目合格してしまいました・・・。
彼女は会計バックグラウンドなど全く無しでしたが、「インプットは日本語、アウトプットは英語」のアビタスで勉強しているうちにいつの間にか会計も英語も身についてしまっていたとのこと。・・・USCPAを目指すならアビタス。というだけあります。
もしUSCPA試験に興味がある、という方は、以下の記事で具体的なイメージを掴んでから挑戦していただければと思います:
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