公認会計士に英語力は必要?国内系出身だが海外で働くことになった会計士が実態を解説

今回は日本の公認会計士の英語力の実態について解説していきます。

まず初めにお伝えしたいのですが、こんな記事を書いている私も「入社時はTOEIC500点でした」ということです。英語を使って仕事をするなんて考えていませんでしたが、現在アメリカで仕事をしています。

では順を追って流れを見ていきましょう。

監査法人入所時:まずはTOEICのスコアの提出と、英語を使った仕事の希望を聞かれる

まずは入所時、どのような流れで英語力が関わってくるか見ていきましょう。
入所時の英語力は会社に求められるか?
まずエントリーシートにTOEICのスコアを記載する箇所があり、英語力はざっくり把握されます。

 

どの程度重視されている?
面接前の段階で英語力がないとマイナスに働くのはPwC系列や、特定の米国基準系部署を希望する場合のみでしょう、基本はあまり気にしなくて良いです。
一方、英語を使いたいという希望は考慮されます。面接中ないし面接通過後に、実際にどんな事業部で監査がしたいのか希望を聞かれます。そのタイミングで、「英語を使った仕事がしたいか」という確認が入ります。

で、実際どの程度の人間がここでYesと答えるかというと、3割未満というのがいいところです。
つまり、同期が100人いれば30人くらいはYesと答えます。一方この時すでに「TOEICが900点超えてて」とか「海外留学していて」という人間は2割にも満たないでしょう。

ここで言いたいのは、最初から英語の準備万端で入社してくる人間は少数派だ、ということです。

それはそうですよね・・・正直私も会計士受験生時代にこれから英語も勉強するなんて考えたくありませんでした。
入社当時の私は人事に対して「英語は使いたくないし、将来海外で働くつもりは今はありません。原価管理と制度会計の両方を見てみたいので、国内だがそれなりに大きな製造業の会社にアサインしてください。」という、なかなか強気リクエストを出しました・・・ただこれは結果マイナスにはならずプラスに働きました。

 

現在私がアメリカへ派遣されていることでお分かりの通り、最初の仕事が国内系だったとしてもチャンスや転機はいくらでもあります

では、次は事業部やアサインの話と、業務での使用場面について触れていきましょう。

事業部(アサイン)の違いと業務での使用場面

4大監査法人それぞれ違いはあれど、監査の仕事は大きく以下のような分け方ができます。

【監査業務の分類】
①グローバル企業系
②国内企業系
③金融系
④公会計系
では上記の全部で英語を使うのか?
答えはNoで、入社当初から英語を使用するのはほぼ①のグローバル企業系のみと考えて間違いないです。
ボリュームゾーンとなるのは②の国内企業系なので、基本大部分の新人は英語を求められません。
一番英語を使う部署と、逆に使わない部署は?
上記の①→④へ行くにつれて、英語の使用割合は減っていくと考えて差し支えないでしょう。
金融系もメガバンク本体や外資系の子会社監査などは英語使用割合が高いですが、金融と言っても関連系会社(リース系、カード系など)や地銀などであれば英語使用頻度は低いです。

 

実際に、どんな仕事で英語を使う?
若手のうちの主なものは以下です:
コミュニケーション面
・海外監査人とのやりとり(メール、チャットをベースに、たまに電話会議)


海外文書系の調べもの
・USGAAP、IFRSの原典を調べる際

・メンバーファーム共通のマニュアルを調べる③監査手続きや開示チェック
・海外子会社のレポーティングパッケージを見る、分析など
・アニュアルレポート等の監査や、海外開示事例の検索など

職位が上がってくると、これに海外事業拠点への出張や、海外転勤なども加わってきます。

これをやりたい人にとってはまたとない機会ですね、世界が大きく広がります。

やりたくない人にとっては避けて通りたい道かもしれませんが、希望はかなり通りやすいので、私のように「いきなり英語なんて無理です」という主張さえしっかりすれば問題ないです。

英語ができることによるメリット、できないデメリット

では、次ページでは英語ができることによる監査法人ならではのメリット、できないことによるデメリットがどの程度あるのか、などを見ていきましょう。「出世にどう影響するか・・・」など解説します。

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