公認会計士のキャリア・年収とは?日米差から明らかにします。

公認会計士とはなんでしょうか。
私も自分が目指すまではあまり詳しくありませんでした。仕事内容もですがやはり気になるのはキャリアプランや年収でしょう。

受験時代、私の周りにもいろんな不純な動機を持った受験生仲間がいました。

「モテるらしいよ」
「年収すぐ1000万円いくってさ」
「即戦力として入社するからすぐ管理職なれるらしいよ」
「一般会社行ってノルマのある営業とかやりたくないしな。デスクワークがいいよな」
「先生って呼ばれながらいろんな会社見れるし、飽きなそう」
「転勤って、国内も海外も希望しなければ基本ないらしいよ。逆に希望すれば結構行けるらしい。」

などなど。。

実は上記の妄想ともいえる願望は、4大監査法人入社の場合おおむね当たってて、日本の公認会計士は何もないところから専門家になり、さくさくと成長していくというキャリアをとても歩みやすい職業なのです。

それでは、以下で早速その内容を見ていきましょう。

そもそも公認会計士とは?

公認会計士の概要

「公認会計士」と聞いてどんなイメージをお持ちでしょうか。難関資格のイメージが先行してしまいがちですが、仕事の内容を理解している人は一般的にはあまり多くないと思います。

主業務は以下の2つと定義されています:
・「会計監査(保証業務)」
・「コンサルティング(指導業務)」

このうち、公認会計士の独占業務(資格がないとできない業務)とされる「会計監査」とは、平たく言えば「企業の財務数値を外部から監査して、公表数値が正しいことを保証すること」です。

平たくないですね。

会計監査の目的は投資家(株主や債権者など)をはじめとした財務情報利用者の保護です。

では、なぜ情報を第三者が監査する必要があるのか。
まず思い浮かぶのは「粉飾決算」の防止でしょう、もちろんそれもあります。
しかし不正がなくとも、会計には「判断」の要素が多分に含まれるため、そもそもグレーゾーンが多い分野なのです。

不況期の新聞などでよく目にする「減損会計」などは会計判断の典型例で、会計は「意見」と言われる所以です。(反対に、キャッシュは事実といわれます。)

この「会計判断」は、「会計」のことを詳しいだけでなく、「企業のビジネス」についても深く理解していないと適切な判断は下せません

例えば楽天などの新規ビジネスを多く抱える企業の監査で
「リスクが高くて将来収益が上がるかどうかわからない」
といって杓子定規に減損していたら、企業は新規ビジネスを始められませんよね。

「会計監査」は、会計基準に詳しいことは当然として、クライアントの経営実態や経済状況を総合的に把握できることが不可欠なので、資格試験では企業経営に関わる法規や税務など、多面的な理解が求められます。

主な就職先 どんな専門家として生きていく?

一般的に、以下の3分類になるかと思います。

【会計士の働き方3パターン】
①監査法人勤務

②企業内会計士(プロフェッショナルファーム・事業会社含む)
③独立
会計監査はすべての会計士がやっている?
上記のうち、会計監査業務を行うのはほぼ①のみといっても過言ではありません。
一方、②や③に将来的に行きたい人も、監査経験を積むため、日本では試験合格者の大部分がまずは監査法人へ入所します。

その他、公認会計士として登録するためには実務要件や実務補修所の卒業が必要で、監査法人勤務だとそのための休みが取れたり補修所費用を負担してもらえたりと優遇されていることも隠れた理由でしょうか。

②企業内会計士ってどんな人たち?
さて②の企業内会計士は、公認会計士試験合格という肩書をもって企業へ就職する人です。監査業務を行うわけではないので資格の登録がマストではないのですが、その知識を生かして企業決算、予算作成、経営企画、内部監査、IRなどの業務につくことが多いです。
また、監査法人以外のプロフェッショナルファーム(税理士法人やコンサルティングファーム)にて働いている方々もこの分類になるでしょう。

多くは監査法人にて経験を積んだのち、転職を行うケースになります。もちろん最初のキャリアとして試験合格後に監査法人を経ずに事業会社へ就職する人もいますが、その場合は公認会計士登録を行っていないケースが多く見受けられます。
(あくまで私の周りではですが、企業内で働いてるうちに肩書はどうでもよくなってしまうようです。あとは実務補修所に通えていない人も多いです)

③の独立会計士ってどんな人たち?
③の独立という形は、従来は税理士登録を行ったうえで税務業務で開業されているケースが最もメジャーだったかと思いますが、最近はフリーランスの会計士として監査業務のアウトソーシングを受けている方も多くなってきています。
近年大手監査法人が人手不足の中働き方改革に力を入れており、決算監査をはじめとして監査業務を一部外注せざるを得ない状況となっていることが背景です。

試験合格者数が横ばいで、合格者を各大手監査法人が取り合い、中小監査法人が全く新人を確保できない、という状況が2015年ごろから2018年末ごろまで生じていました。2019年末現在、中小監査法人でもようやく新人を確保できる水準になってきていますので、一時期の需要バブル感は薄れました。ただ、働き方改革の結果繁忙期の緩衝材としてフリーランスを使う方針はしばらく変更がなさそうです。

なお、転職市場も好調で、有資格者限定の有料求人が現在とても豊富でチャンスといえます。
(参考:弁護士・公認会計士・税理士の求人・転職なら【MS-Japan】

試験合格と就職の関係

ここからは、日本での就職事情と、アメリカの就職事情を対比してまとめます。
日本の監査法人が、①世界的に見ても新人を大事にしていること、②外資のような給与・職層体系なのに日本企業的なよい面も兼ね備えていることがわかっていただけると思います。

試験合格と就職の関係

日本では資格試験に合格した人しか監査法人に入所することはできませんが、アメリカでは会計系の大学を卒業した試験未受験の人がアカウンティングファームに入所し、働きながら資格を取っていくことが一般的です。

この事実から言えることは、

①日本では「試験合格の事実」が重視され、
②アメリカでは「ポテンシャル」が重視されている

ということでしょう。

つまり、日本は試験で間口を絞って就職は楽、アメリカは就職で間口を絞って試験は楽、という構造になっています。

仕事内容やキャリアは?

仕事の内容は、監査部門を前提とすると日本もアメリカも全く同じと言っていいでしょう。

ただ、キャリアは少し違います。

日本では入所後、以下のようなキャリアを年数を要します:

【日本のキャリア年数】
スタッフ:4年経験でシニアへ
シニア:3~5年経験でマネージャーへ

対して、米国では以下のパターンが多いようです。

【米国でのキャリア年数】
スタッフ:2年経験後、入所3年目からシニアへ
シニア:3~4年経験してマネージャーへ

昇格のスピードが米国のほうが早いのは、リストラが割と日常的になされるためでしょう。米国では問答無用で役職が上がっていく半面、その職位に見合った働きができていない人は年次評価の結果クビ、ということが普通にあります

日本の監査法人でのリストラは?
2010年頃、大量採用の反省として各法人がリストラを経験しています。現在は日本の監査法人にこういった考え方は全くなく、コンプライアンス違反でもない限りクビになることはまずないです

その反面辞めずに滞留している中間管理職が多いという日本企業的な面を持っているので、昇格テーブルは米国ほどスピーディーではないです。

監査法人の給与はいい?試験にチャレンジすべき?噂の答えは?

では、次ページでは実際に給与体系や噂の答え合わせなどを見ていきましょう。

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