はじめに
USCPAという資格をご存知でしょうか。
USCPA(米国公認会計士:United State Certified Public Accountant)の試験は、英語と会計の専門家として全世界で広く認知されるアメリカの資格です。
手に職をつけたい大学生から、スキルアップをしたい社会人まで幅広く人気になっています。
この試験を受けるにはいろいろとお金がかかるのですが、実は人によってかかる金額が違います。
本記事では実際にUSCPAを取得した私が、実体験よりどの程度費用を見積もるべきなのか解説していきます。
USCPA 米国公認会計士 の取得にかかる費用は実際いくら?
いきなり結論です。
ざっくりいうと、順調に行ったケースで100万円ほどになるかと思いますが、これを上回るリターンが得られる優良自己投資です。
まず費用の内訳は以下です。
②予備校代Ⅱ(単位取得料):15万円ほど
③受験料:30万円弱(為替による)
④登録関係費用:8万円ほど
今回の記事はこれで8割ほど伝えたいことは終わってしまっているのですが、それでは中身があまりに薄いので、より詳細に紹介していきます。
(実はこれらの金額は、予備校などの選択によってかなり変動します。)
①最大の支出:予備校代
まず間違いなくかかってくる最初の支出が予備校代です。
主要と考えられる3つの予備校を、基本金額だけで比較すると以下です。
TAC:494,000円
アビタス①:553,500円(15単位分取得料含む)
アビタス②:749,300円(53単位分取得料含む)
こう見ると、最も安い大原とアビタスでは大きな差があるように感じますね。
ただ、次の項目である「単位取得料」を合わせて比較しないといけないところがUSCPAの難しいところです。
②意外とばかにならない、単位取得料
すでに予備校受講料のところで出てきていますが、単位取得料なるものが必要になるケースがほとんどです。
この単位取得料金、予備校によりますが、ざっくり1単位に換算して6,000円ほどかかると思って差し支えないと思います。(実はひと昔前はもっと高額でした)
USCPA試験はほとんどの場合出願に際して「大学での単位数」が出願要件になっていて、足りない分を追加で取る必要があります。
必要数の代表例、ワシントン州の「総取得単位150以上かつ、会計科目24単位以上、ビジネス関連科目24単位以上」が多くの州で採用されています。
一般的な日本の大学卒業生の取得単位というと、せいぜい130単位ほどかと思いますので、基本的に大学院卒でないと足りません・・・。
したがって、
②経済系の学部でない場合は会計やビジネスの単位で48単位が丸々不足します。
ただご安心を、いずれの場合も予備校の制度を利用して単位を取得することが可能です。
ここで、各予備校ごとに特色が出てきます。
また、足りない場合は1科目(3単位)あたり16,000円の追加費用を払えば追加で27単位までは取得できます。
提携大学の単位認定試験を受験可能ですが、1科目(3単位)あたり16,950円の受験料がかかります。
・20単位足りない場合→7科目受験:16,950円×7科目=118,650円の費用が追加でかかります。
・48単位足りない場合→16科目受験:16,950円×16科目=271,200円の費用が追加でかかります。
・ライトパック(553,500円)は15単位分の料金が含まれています。
・フルパック(749,300円)は53単位分(会計29単位+ビジネス24単位)の料金が含まれています。
実はうちの妻はアビタスのフルパックにお世話になり、先日USCPA4科目合格してしまいました・・・。
「インプットは日本語、アウトプットは英語」のアビタスカリキュラムには定評ありますが、いつの間にか会計も英語も身についてしまっていたとのこと。・・・USCPAを目指すならアビタス。というだけありますね。
ざっくり予備校の総費用を比較
基本の算式は以下になります。
TAC:494,000円+16,950円×追加科目
アビタス:553,500円もしくは749,300円
具体例①:20単位足りない時の受講料+単位取得料
大原:453,000円(24単位含む)
TAC:494,000円+16,950円×7科目=612,650円
アビタス:749,300円(ライトパックでは足りないためフルパックでカバー)
この例では、24単位分あらかじめ含まれている大原に軍配があがりました。
具体例②:48単位足りない時の受講料+単位取得料
大原:453,000円+16,000円×8科目(48単位ー24単位=24単位)=581,000円
TAC:494,000円+16,950円×16科目=765,200円
アビタス:749,300円(フルパックでカバー)
単位が多く必要になる場合でも、費用面では大原に軍配があがりました。
結論:金額面では大原の一人勝ち?
受講料と単位取得料を安く抑えたい、という点を最も重視する場合は、大原の選択が最有力候補になるのでしょう。実績面では前述のアビタスやTACの方が良い面が多いので、この辺りはまずいろいろ資料請求してみることをおすすめします。
(今回は単純な費用分析のため、金額以外の予備校の内容分析は別途記載します。)
③受験料:日本受験料が高いがアメリカで受けるよりは楽
合計四科目の受験になりますが、
2)受験料:$208.4/科目
3)日本受験追加料金:$356.55/科目
の費用がかかります。
計算例:4科目一度に日本受験申し込みを行い、すべて一発で合格した場合(出願料を$200とする)
出願料$200 + (受験料$208.4 + 日本受験$356.55)×4科目 = $2,459.8 →110円換算で27万円程度
という計算になります。
日本受験追加料金が15万円以上となっていることから高いと思われるかもしれませんが、時差などを考えると日本受験のほうが楽で確実でしょう。
④登録費用:米国会計士に紹介してもらう必要がありお金がかかる
晴れて4科目合格したとして、実際にAICPAへ登録し、名刺に「USCPA」と記載できるようにするためには追加の費用がかかります。
これが合計で8万円程度となります。
・AICPAの倫理試験受験料:200ドル程度
・ライセンス取得サポート費用:3~5万円(予備校による)
・AICPAライセンス登録費用:300ドル程度
上記のうち倫理試験受験料とライセンス登録費用はAICPAへ払うものですが、その登録申請にあたり職務経歴書(英語)の提出が必要です。
そこに記載された「職歴がUSCPAの登録要件となる実務要件を満たしている」ということを他のUSCPA登録者にサインをもらい、保証してもらう必要があります。
人から人への紹介が原則のアメリカらしい文化ですね。
これを予備校お抱えのUSCPAないし機関がサポートしてくれるのですが、有料となるため上記に含めています。
おわりに
いかがだったでしょうか。
米国公認会計士の費用というのは意外とかかる、と思われた方もいるかもしれません。
ただロースクールに通わないといけない弁護士や、医大を卒業しないといけない医師と比べるとどうでしょう。
USCPAは専門家になるための時間的・金銭的ハードルがとても低いというのが実態です。
以前私はこんなツイートをしました。
大学生がUSCPAをとるメリットを3つ上げてみた。
1.経営系の大学の講義が気持ち良いほどわかるようになる
2.普段から英語でインプットすることに抵抗が無くなる
3.社会人になっても学び続ける土壌が出来る上げ出すとキリがないですが、就職有利とか以前に自己成長メリットがでかい。
— カワキタ / アメリカで会計士やってます (@kawakitablog) February 6, 2019
学習内容は幅広くビジネスの基礎をカバーしており、それを英語で学べることから、スキルアップのファーストステップとしてはとても優れた試験であると言えます。
合格後の働き方については以下のページで解説していますので具体的なイメージを持ってください:
年収については以下で具体的なイメージを持っていただけます:
最後までお読みいただきありがとうございました。